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コラム:公証役場で緊張の遺言作成

公開日:2022年12月23日
更新日:2023年8月3日

遺言を作成する場合、主な方法は2つです。
①公証役場で公正証書という書面にして作成する公正証書遺言
②自分で手書きする自筆証書遺言

今回は、公正証書遺言作成現場の実状をお伝えします。

みなさんは公証役場に行ったことがありますか?公証人と会ったことがありますか?
多くの方はそのような経験はないかもしれませんね。

公正証書遺言を作成するには、遺言者(遺言を書く人)ご本人が①公証役場に行って、②公証人の面前で「遺言内容を口授する」必要があります。ちなみにカンペは見れません。

公証役場ではどんな感じで進むのか

①公証役場の中にある公証人の居るブースに入ります。
ここには、遺言者本人と証人2名しか入れません。
推定相続人となるご家族の方は同席できないのです。
まず、これが緊張感を高めます。

②公証人のブースに入ると、本人確認をされます。
住所、氏名、生年月日、職業等の確認です。
この辺りは大抵問題ないですね。

③最大の難関が「遺言内容の口授」です。
どんなことを聞かれるかというと「あなたがなくなったら、あなたの財産はどのように相続させたいですか?」この程度のザックリ感です。
ここでは「不動産を誰に、、、」「預金は誰と誰に半々で、、、」という感じのことが言えたらいいのですが、公証人の面前で緊張するのかなかなか難しいようです。

私の経験上、半数以上の方がここでつまずきます。
「娘の言うとおりにしたい。」「長男に一任している。」「まだ決めていない。」など打ち合わせと全然違う事を言ったりします。

④無事に「遺言内容の口授」を乗り越えたらあとは簡単です。
事前に用意されている遺言書の内容を公証人が読み上げ、遺言者と証人が間違っていないか確認しするだけです。

口授がうまくいかない理由

①事前の打合せは書面をもとにしている。
弊所にご依頼いただいた場合、遺言作成に当たっては、数回打合せを行い、事前に遺言内容を書面にしたものを確認していただいています。
書面にしたものを確認するので「よしよし、これでOK」となりがちですが、公証役場で口授する際には書面は見れないので要注意です。

②公証人の面前で緊張する。
公証役場の独特の雰囲気、いつもと違う環境でやはり緊張します。
そんな中、カンペも見ずに遺言内容を言ってくれといわれると頭が真っ白になるのかもしれません。
予行演習はするんですけどやっぱり本番とは違いますね。

③遺言内容が自分の意思だけが反映されているものではない。
遺言内容は、ご自身の気持ちと相続する方の気持ちをすり合わせながら決めていくことをお勧めしています。継ぐ方の気持ちも大切ですから。
ただし、家族の意見を聞くと遺言者の当初考えていたものより、内容が細かくなっていきがちです。
遺言者の本音は、家族の望むようにしたいという風にシンプルだったりします。「娘の言うとおりにしたい。」「長男に一任している」といったお気持ちが本当の気持ちだったりする方も多いと思うのです。
緊張すると本当の気持ちが出てしまうのかもしれませんね。

対応方法

特にないといったら怒られますか?
強いてあげるなら、納得できるまで話し合うことでしょうか。

何よりも判断能力がしっかりしているうちに遺言を作成するという事が大切ですね。