ひろせ日記
上場株式の端株の相続の調査方法や手続きで注意すること
株式の相続手続きで気をつけること
株数が一致しないのは端株が原因かも?
6月は上場株式の配当が多い時期です。
亡くなった方が株式(上場株式)を保有していた場合は相続手続きを行います。
ところが、株式の相続手続きは終わったはずなのに、「被相続人(亡くなった方)名義の株式の配当金のお知らせが届いた」というお問い合わせをいただくことがあります。
とくに被相続人が端株を持っていた場合、証券会社からの残高報告書や残高証明書では、その存在に気づかないことも多くあります。
端株の調査の方法や相続の手続きの注意点をご案内しましょう。
端株とは?
端株とは1株に満たない端数株式のこと。端株の最少単位は0.01株で、1株の100分の1になります。株式の分割や企業の合併による株式の交換などで発生します。端株の相続手続きを忘れてしまいがちなのは、端株の保管先が要因の一つ。
2009年の株券電子化によって、国内の上場株式は証券会社の口座へ移管されました。しかし、端株は証券会社の口座に移管されずに、信託銀行に特別口座として残されました。
同じ銘柄の株であっても、証券会社と信託銀行の2カ所で管理されているため、端株に気づかず放置してしまうということが起こってしまうのです。
端株と単元未満株との違い
証券取引所では一般的に100株=1単元で売買を行います。この取引単位のことを単元株と言い、単元未満株は1単元に満たない株のことです。たとえば、1株1,000円の株を1単元購入しようとすると、1,000円×100株=10万円の資金が必要で、個人投資家にとっては投資のハードルが高くなってしまいます。単元株制度を採用している会社の株式は、1株から購入することができるため、投資家にとっては購入しやすくなるというメリットがあります。
一方、1株に満たない端数株式のことを「端株」と言います。本来は、端株と単元未満株は異なるものですが、単元未満株が慣用的に端株と呼ばれることもあります。
被相続人の保有していた端株はどうやって調査するの?
被相続人が端株を持っていた場合は、証券会社からの残高報告書や残高証明書では見つからないことが多いため注意が必要です。
上場株式の相続手続きは、通常、口座を開設している証券会社を通じて行いますが、端株は証券会社の口座にない場合が多々あり、相続手続きや相続税の申告から漏れがちです。
端株の有無の調査方法
配当金計算書で確認する
端株の存在に気付くきっかけとして多いのが配当の時期です。株式の配当が支払われる場合には「配当金計算書」が送られてきます。
端株があるかどうかは、「配当金計算書」の税額欄で確認します。
○税額の欄が「***」(アスタリスク)で表示されている場合
この場合は、信託銀行の特別口座で管理されている端株はありません。つまり、証券会社を通じて配当金を受け取る「株式数比例配分方式」が選択されているということ。信託銀行に特別口座があると、株式数比例配分方式は選択することができないので、税額の欄が「***」で表示されていることで、端株がないことが判断できます。
「配当金計算書」で分かるのは、「信託銀行での手続きが不要である」ということのみ。
もし、端株を保有していることがわかれば、改めて端株の調査が必要となります。
証券保管振替機構(ほふり)に問い合わせる
どこの証券会社かはわからないけれど、株取引をやっていた様子だ…。
そのようなケースは、証券保管振替機構(ほふり)「登録済加入者情報の開示請求」という請求をすることができます。
証券保管振替機構の開示請求で、被相続人(亡くなった方)が解説していた証券会社の口座はもちろん、信託銀行などの特別口座も把握することができます。必要書類を郵送して申請すれば、約2週間で登録済加入者情報通知書が届きます。
登録済加入者情報通知書にはどの証券会社・信託銀行に口座があるか示されますが、株式を何株保有しているのかなどの詳細はわかりません。
保有していた株式の数を調べるためには、証券保管振替機構での調査により判明した証券会社や信託銀行から残高証明書を取得することが必要になります。
端株の相続の手続き方法と注意点
端株の相続手続きの流れ
被相続人(亡くなった方)の端株が信託銀行の特別口座にある場合の手続き方法は2通り。
- 口座を管理している信託銀行に時価で買い取ってもらう
- 被相続人の特別口座にある端株を相続人の証券会社口座に振り替える
【手続きの流れ】
- 信託銀行の相続手続きの窓口で手続き書類を取り寄せる
- 戸籍謄本等の必要な書類を揃える
- 残高証明書の請求を行い、株式の保有銘柄や保有数を確認する
- 相続人全員で遺産分割協議を行い、分割の割合や方法を決定する
- 相続人名義の口座に移管する場合は証券会社の口座を開設しておく
- 信託銀行の所定の用紙に、相続人全員の署名・押印を添えて必要書類とともに提出する
- 書類や手続きに不備がなければ2~3週間で各相続人の口座に移管、または振込される
端株の相続手続きに必要な書類
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本等
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺言書、または遺産分割協議書(あれば)
- 所定の手続書類(相続手続依頼書、単元未満株買取請求書など)
- 口座振替申請書または単元未満株式買取請求書
相続手続きを放置すると財産を失ってしまことも
手続きが難しくて手間がかかるために放置されることもしばしば。放置していると改めて遺産分割行儀を行わないといけなくなったり、相続税の申告漏れでペナルティが発生したりするリスクもあります。また、本来ならもらえるはずの財産を失ってしまうことにもつながりかねません。
相続手続きは漏れのないように迅速に行うことが大切です。
一つの証券会社にある株式を相続するだけなら簡単ですが、ネット証券や端株があると調査も相続手続きも複雑です。ご自身で行うのが難しい、どんな手続が必要かわからないという方は、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
端株の相続手続きのよくある質問
お客様からよくある質問に対して、司法書士が解説します。
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期限はありませんが放置すると財産を失う可能性があります。
会社法では「所在不明株主の株式売却制度」が定められており、継続して5年間、会社から株主に対する通知・催告が到達していない場合や会社から配当金を受領していない場合は、「所在不明株主」とされて株主の地位を失う可能性があります。
株式発行会社が所在不明株主の株式を売却して処分すると、その株式は無効となり、売却代金は供託所に供託されます。 -
端株にも配当金が発生します。
端株について未受領の配当金がある場合は、信託銀行に端株の相続手続きとは別に、未受領配当金の相続に関する書類を提出する必要があります。 -
譲渡益が出た際は端株も原則として確定申告が必要です。
端株は証券会社口座への移管、または信託銀行に買取請求しか選択できません。譲渡益が出た際には自身で取引報告書を作成して、確定申告をしなくてはなりません。
買取請求や売却した場合には、それぞれ翌年に確定深刻が必要になるため、取引報告書や株式の取得価格と時期が分かる資料を保管しておきましょう。 -
家庭裁判所への申し立てが必要です。
相続を放棄すると、株式以外の相続財産もすべて放棄することになります。株の相続はしたくないが、他の財産は相続したいといった場合は、遺産相続分割協議で他の相続人の同意を得る必要があります。
上場株式の相続手続きは、ひろせ司法書士事務所にお任せください
端株に限らず、株式の相続手続きは、財産の把握調査にはじまり相続完了まで必要書類が多く、手続きに不備も発生しがちです。また、手続きにつまずいているうちに、申告期限を過ぎてしまうということもあるでしょう。
ひろせ司法書士事務所は、上場株式はもちろん、不動産、預貯金など様々な相続手続きの実績があります。スムーズで効率的に手続きを進めることができ、お客様の手を煩わせることもありません。また、一般の方にも理解しやすい言葉でていねいな説明を心がけています。
遺産相続は初めてで、専門家に依頼すると、どの手続にどのぐらいの料金がかかるかを心配される方も多いことでしょう。
ひろせ司法書士事務所の「相続手続きまるごとおまかせパック」は、様々な相続手続きをまるっとお引き受けするサービスです。
初回相談は無料で、打ち合わせ時に手続きに関する概算費用も提示いたしますので、まずはお電話やメールでお気軽にご相談ください。
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