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知らない相続人から手紙が届いたら

公開日:2024年10月28日
更新日:2024年11月6日

相続相談なら香川県高松市「ひろせ司法書士・行政書士事務所」廣瀬修一です!

先日「相続人が多くてもあきらめない」というタイトルで、相続登記を長期間放置したために相続人が多人数になってしまった場合の手続きについてご紹介しました。


今回はその裏側のお話で、ご自身が見知らぬ人の相続人になっているという手紙が届いたらどうしたらいいのかを解説します。

1.知らない相続人がいた場合の連絡方法

相続人が多人数になっているケースで、知らない相続人がいた場合、連絡を取る手段としてはお手紙を出すことになります。

「○○様 突然のお便り申し訳ありません。この度は●●の相続手続きの件で連絡しました。私は●●の曾孫の△△で・・・○○様は私の叔父の配偶者の兄弟の子供で・・・」のような感じで、突然あなたは相続人なんです。といった内容の文書が届きます。

○○さん(受取人)と△△さん(差出人)、●●さん(被相続人)は下の図のような関係性です。
もはや他人ですね…

知らない相続人からの通知

手紙を受取った方はビックリされることと思います。

「新手の詐欺じゃないのか???」

そのようなご相談もよく受けます。

あなたも相続人なので相続手続きに協力してください。という趣旨の手紙が届いた場合、詐欺である可能性はかなり低いと思いますがどう対応すればよいのでしょうか?

2.そもそもどうやって自分が相続人であることと住所までわかったのか?

先日のブログでご紹介したように、相続登記を進めるためにはまず、戸籍を取得して相続人の調査を行います。

戸籍には「本籍地」、「筆頭者」、「戸籍事項」、戸籍に記載されている方の「名」「生年月日」「父母の氏名と続柄」「身分事項」などが記載されています。

戸籍は、夫婦と、その夫婦と同じ氏の未婚の子が記載されています。

夫婦は必ず同じ戸籍になります。夫婦の間に子どもが生まれると、夫婦の戸籍に入ります。結婚すると、両親の戸籍から抜けて、夫婦の戸籍が作られます。

相続人を確定させるためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得して、その人に子供が何人いたかなどを調べます。

戸籍を調べることで相続人は判明するのですが、戸籍には住所は記載されていません。
そこで戸籍の附票という書類を取得します。

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村で戸籍の原本とともに保管されている書類で、その戸籍が作られてから現在に至るまでの住所が記録されています。

戸籍の附票を取得することで相続人の住所がわかります。その住所をもとにあなたにお手紙が届いたという訳です。

3.どのように対応すればいいのか?

詐欺ではないという事がご理解いただけたとして、手紙を受取った方の選択肢は大きく3つくらいでしょうか。

(1)何も財産はいらないので協力する。
(2)相続人として権利を主張したい。
(3)関わりたくない。

それぞれどのように対応すればよいのか見ていきますしょう。

(1)何も財産はいらないので協力する。

何も財産はいらないし、相続人として協力する。といった場合でも方法はいくつか考えられます。

ⅰ 送られてきた書面に実印で押印して印鑑証明書と一緒に返送する。

遺産分割協議書や相続分譲渡証書などの書面が送られてきた書面に同封されている場合、それに押印して返送するのが一番簡単です。

ただし、このやり方を選択した場合、もし被相続人に負債があった場合には返済の義務を負う可能性も残ります。

ⅱ 家庭裁判所に相続放棄の申述をする。

今後相続に関与する可能性をなくしたいのであれば家庭裁判所で相続放棄の手続きをするのも一つの方法です。

相続放棄は、相続が発生してから3か月以内と思っている方もいらっしゃるようですが、正確には「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3か月なので、手紙が届いた時を基準として3か月以内であれば、相続放棄ができる可能性が高いでしょう。

相続が発生してから何十年も経っているようなケースでは負債が残っている可能性は低いと思うのでケースバイケースですね。

(2)相続人として権利を主張したい。

相続人として権利を主張したい場合は、その旨を手紙の差出人に対して回答すればよいと思います。

相手方の開示する財産がイマイチ信用できないなぁ。という場合はご自身で相続財産の調査をすることも可能です。

(3)関わりたくない。

どこの誰かも知らない人の相続人になっていると言われても困る。関わりたくない。
これまでの経験では、そのような方が多いように感じます。

ⅰ 関わりたくないから無視する。

これはお勧めできません。なぜなら無視しておいても問題は解決しないからです。

なんの返答もないと相手は次の手段として、遺産分割調停の申し立てをすると思います。
そうすると次は裁判所から呼出状が届くことになり、余計面倒になるだけです。

また、無視したまま3か月を経過してしまうと相続放棄をすることができなくなってしまいます。
本当に関わりたくないのであれば相続放棄をお勧めします。

ⅱ 家庭裁判所に相続放棄の申述をする。

家庭裁判所で正式に相続放棄手続きをしておけば、初めから相続人とならなかったものとみなされます。今後負債などがでてきても支払う義務もありませんので安心ですね。

4.まとめ

ご自身が知らない誰かの相続人になっている。というお手紙が突然届いたらビックリされることと思います。

気味が悪いから無視しておこう。というお気持ちもよくわかります。

でも無視しておくのは、差出人にとっても受取人にとってもいい方法ではありません。
無視しても解決することはなく、自分の選択肢を狭めることになります。

知らない相続人から手紙が届いたら、家庭裁判所で相続放棄の手続きをする。差出人に対して自分の意思を伝えるなどの対応をお勧めいたします。

この記事を監修・担当した専門家

司法書士廣瀬修一 (保有資格中小企業診断士、土地家屋調査士、行政書士、AFP)

代表司法書士 廣瀬修一

知らない相続人からの手紙は無視してもメリットはありません。 できる限り早めに対応することをお勧めします。

保有資格

  • 司法書士
  • 行政書士